2011年9月20日火曜日

【つぶつぶヒストリー6・いのちのアトリエの建設】


運良く、土地を提供するから来ないかと誘ってくれる集落があり、雪の積もった三月にもかかわらず、その土地にピンと来るものを二人で感じて引っ越しを決心しました。

新たな夢を実現するために、1995年の7月から現在の住まいであり、オープンハウスの会場でもある建坪48坪床面積120坪の実験手作りハウス「いのちのアトリエ」を作りはじめました。

バイオガスキャラバンの桑原さんとの出会いがあり、急速に普及した水洗トイレのように、私たちの排泄物を一気に海まで流すのではなく、この土地で循環させる方法として、バイオガスプラントを作ることも同時に進みました。

桑原さんはODA の水質技師から農業へのてんかんを模索している方でした。桑原さんからはバイオガスのノウハウを提供してもらい、私たちは雑穀の栽培と料理のノウハウを提供するという形での心響きあう交流の中で、10日間に渡るバイオガス作りに、縁あって集まってきたボランティアのみんなと家族総出で取り組みました。 

穴を掘り、煉瓦を1個1個積んで作った直径4メートルのバイオガスのドームは、土の中にあり2度と見ることはできませんが、13年間、家族や訪れる人々のうんことおしっこをメタンガスと液肥に変えてくれています。

メタン菌という微生物が働いてくれているおかげで、すべてがガスと液肥に変わり、ゴミは一切残らないのが今でも不思議です。火力も強く、ベジタリアンのうんこの量は肉食者の何倍もあり、液肥は肥料としての成分バランスが優れていることがあとからわかりました。

こんなに有益なものを大切にしないで汚物として海に流している暮らしの矛盾は、雑穀を忘れた社会と一緒だとますます強く感じるようになりました。

いのちのアトリエが建っている土地は、標高350mメートル、たっぷりの湧水に恵まれた、四方が見渡せる独立空間です。山間地にはめずらしく一日中、日が陰らないカラッとした心地よい空間です。

北は朝日連邦へと続く楢を主とした雑木の山で、西はわらび畑、南に杉の林と平地、そして県道をはさんで大石沢川。

川向こうの切り立った山は南西の飯豊連峰へと続きます。東には水田と7軒の集落が広がっています。11月に初雪が降り、12月から4月始めまではすっぽりと雪に抱かれた生活が続きます。積雪量は時には4メートルにおよびます。

家作りとバイオガス作りのプロセスは、家作りの始まりから5年間のプロセスを自分たちで撮影してまとめた「風の家族」というドキュメンタリーDVDに収録されています。

   ■つづく■

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