その後、私はヨーロッパの旅を続け半年たっても何もつかめないまま、アメリカに渡りました。
働いてお金を貯め、南米一周の旅に出た私は、最初の到着地で荷物のほとんどを盗まれてしまいました。その事件で、私の中の何かかたいものが崩れはじめました。
着の身着のまま、小さなバッグと再発行してもらったパスポートとお金だけを持って南米各地を旅しているうちに、どんどんほぐれていきました。
一年の旅の間に、イキイキ生きるエネルギーが心の中にあること、体全体で楽しく生きる人々のきらきらした目、貧しくてもせいいっぱいもてなそうとあふれ出る気持ちに、私の中で何かがはじけました。
そんなときに父が倒れた知らせを受けて日本に戻り、運良く後遺症もなく元気を回復した父を手伝って小さな印刷工場で働きはじめました。
旅で感じた命の躍動を、どう自分の生き方に実現していったらいいのかと考えあぐねていた時に、ゆみこと再会したのです。
彼女は帰国後自分で企画デザイン会社を起こしていました。分野の違う女性デザイナー5人の会社です。
女性の感性で女性の心に響く商品を、というコンセプトで社会に新風を巻き込もうとしていたゆみこと、合うたびに何時間も何時間も話し続けました。
■つづく■
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